『百姓貴族』(ひゃくしょうきぞく)は、日本の漫画作品で、作者は荒川弘。

2006年12月26日に季刊少女漫画誌『ウンポコ』(新書館)Vol.8で連載がスタートし、その後、同誌がVol.17で休刊すると、2009年9月からは月刊漫画雑誌『月刊ウィングス』(現在のウィングス)で連載が続けられています。

2021年2月現在、このシリーズは300万部以上の部数を販売しており、話数は「○頭目」で数えられています。

さらに、2022年10月にはこの作品のアニメ化が発表され、2023年7月に放送が開始されました。

百姓貴族 1

百姓貴族 1

百姓貴族の漫画の概要

この作品は、荒川弘自身の実体験に基づいたエッセイ漫画で、彼が北海道十勝で酪農と畑作を営んでいた7年間を描いています。

物語の舞台は、荒川の実家である「荒川農園」で、ここで酪農や耕作の実情、日本の農業に関する笑いや知識、仮説などが紹介されています。

この漫画のタイトルである「百姓貴族」について、荒川はこの言葉について議論があることを認識しており、差別的な意味で使われることがあると述べています。

しかし、彼自身は農業を従事する人々が自然に「百姓」と呼ぶことは問題ないとし、差別的な意味合いを気にしすぎることは言葉の本来の意味を歪めてしまうと考えています。

荒川はこの作品と同時に、農業高校を舞台とした学園漫画である『銀の匙 Silver Spoon』を連載しており、両作品には共通するテーマが含まれています。

百姓貴族の漫画のあらすじ

この漫画では、荒川が自身の担当編集者であるイシイと対談する形で、北海道の農業と酪農について語られます。

物語は荒川の実体験だけでなく、彼の子供時代の思い出、現在の荒川農園の様子など、多岐にわたる内容を取り上げています。話数は「〇頭目」という形で表示されます。

百姓貴族の登場人物一覧

物語には荒川自身や荒川の家族が頻繁に登場します。彼らは牛を模した牛人間の姿をしており、個々の特徴や性格が描き分けられています。

物語には他にも友人や知人、担当者なども登場し、彼らの多くは人間の姿をしています。また、荒川農園で飼育されている動物たちも、個性的な行動を見せることがあり、物語には彼らも組み込まれています。

進行

荒川弘(あらかわ・ひろむ)

この作品の作者で、彼自身は白黒斑模様の牛人間で、メガネをかけています。

彼はこの漫画の中で自分自身を描いており、荒川家の四女であることを示しています。

漫画家になる前の7年間、北海道の実家で農業に携わっていました。彼は農業を通じて得た経験から、血の気の多い農民のような言動をし、しばしばイシイを驚かせることがあります。

イシイ

この漫画の女性編集者で、農業については全くの素人です。

最初は荒川の特異な知識や話に戸惑いや突っ込みを入れていますが、物語が進行するにつれて、農業や関連する知識を学んでいきます。

彼女は口癖として「農家の常識は社会の非常識」と言っています。

荒川家・荒川農園

親父殿

荒川の実父で、白黒斑模様の牛人間。彼は非常に型破りな言動と行動が多く、エピソードに事欠かないキャラクターです。

読者のアンケートでは「人気がすごい」と評価されています。物語の中で彼は死にかけることが頻繁にあり、その都度、家畜(特に牛)が死ぬことがあるため、「親父殿の身代わり」と思われています。

おかん

荒川の実母で、エプロンを着けた牛人間の姿をしています。

彼女は家族の手伝いから逃れたくないと考え、荒川が幼少の頃に、自宅の机の足に繋がれたり、部屋の扉に釘を打たれて部屋から出られないようにされたエピソードが描かれています。

彼女は家事、育児、農作業、家畜の世話、荒川農園の経理や営業、じいちゃんの介護、園芸など、多くの仕事をこなす非常に多才な人物です。

じいちゃん

荒川の父方の祖父で、茶色い体の牛人間。彼は冷静で慎重な性格で、高齢にもかかわらず驚くことがありません。

物語中で、彼は木に登り作業中に転落し、肋骨を折る事故に遭いながらも、全く動じずにいる姿が描かれています。また、入浴中に地震に遭遇しても動じず湯船に浸かり続けるエピソードもあります。

ばあさん

荒川の父方の祖母で、着物を着た牛人間。彼女は非常にアクティブで、自転車やトラクターの運転を覚えるなど、年齢に関係なく新しいことに挑戦する性格です。

彼女は「百姓の女は何でもやるべきだ」との信念を持ち、多くの仕事をこなす力強い人物です。彼女は晩年に体調が思わしくなくなり、家族に感謝の言葉を伝えて亡くなりますが、亡くなる前に遺影に使えそうな写真を用意していたことから、家族に驚かれました。

ひいじいちゃん

荒川の曽祖父で、明治時代に生きた牛人間。

彼は足尾鉱毒事件を共に戦ったことで警察に逮捕状が出され、群馬県から北海道に移住したという武勇伝を持つ人物です。荒川は彼を「やんちゃキング」と形容しています。

姉①、姉②、姉③、弟

荒川の姉妹と弟が登場し、それぞれの特徴やエピソードが描かれています。姉妹は牛人間で、弟は白黒斑模様の牛人間で、彼らも荒川家での生活や経験を共有しています。

百姓貴族の感想や評価

この漫画は、単行本の売り上げランキングで高い評価を受けており、単行本第5巻や第6巻はランキング入りを果たしています。

特に、第5巻は2週連続で第1位と第4位を獲得し、第6巻は2週連続で第2位と第7位を獲得しています。この作品は読者から高い評価を受けており、その商業的な成功が証明されています。