ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかはアルカディア発のラノベ

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかは、大森藤ノが手がけた日本のライトノベル作品であり、それに関連する様々なメディア展開も含むシリーズです。

本編の挿絵はヤスダスズヒトが担当し、派生作品でははいむらきよたかやニリツ、かかげといったイラストレーターが関わっています。

この作品は2013年1月にGA文庫(SBクリエイティブ)から刊行が始まり、2023年9月時点で本編19冊、派生作24冊の計43冊が出版されています。さらに、このシリーズを元にした漫画、アニメ、映画、ゲームなども制作されています。シリーズの略称は「ダンまち」として広く親しまれています。

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかの物語の概要

物語は、円形の都市オラリオとその地下に広がる迷宮を中心とした舞台で、神々の眷属による壮大な冒険が描かれています。

主人公のベル・クラネルは駆け出しの冒険者として様々なヒロインたちと出会い、仲間たちとともに成長を遂げて英雄を目指します。

また、派生作である『ソード・オラトリア』ではヒロインのアイズ・ヴァレンシュタインに焦点が当てられ、彼女の物語が展開されます。『ファミリアクロニクル』では、本編や外伝で描ききれなかったキャラクターたちの過去が明らかにされます。

大森藤ノのデビュー作である本作は、もともと小説投稿サイト「Arcadia」で公開されており、その後、第4回GA文庫大賞で大賞を受賞したことで書籍化されました。

さらに、『このライトノベルがすごい!』のランキングにもランクインするなど、多くの支持を集めています。シリーズ開始10周年を迎えた2023年には、記念小説やゲームシナリオが連続して公開され、累計発行部数は2024年3月時点で1700万部を突破しています。

本作の世界では、かつて無尽蔵に生まれる迷宮のモンスターが人類に脅威をもたらしていました。

しかし、神々が天界から地上に降り立ち、彼らが組織する「ファミリア」と呼ばれるグループがモンスターに対抗するようになります。この結果、迷宮の上に建設された塔「バベル」がモンスターを地下に封じ込め、地上は一定の平和を取り戻しました。

神々は地上での退屈を紛らわせるために人間に恩恵を与え、彼らの冒険を楽しむ存在として描かれています。

また、ヒューマンやエルフといった種族が登場し、冒険者たちは迷宮に挑むことで栄光や富を追い求めています。作品の中では、冒険者が新たな英雄として期待される一方、黒竜討伐という壮大な目標も提示されています。

こうした設定の中で、神話をベースにした神々や冒険者たちの物語が、壮大なスケールで展開されていきます。

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 1巻

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 1巻

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかのあらすじを紹介

第一部

物語は、主人公ベルがヒロインたちと出会いながら冒険者としての第一歩を踏み出す様子を中心に描かれています。

第一巻

冒険者ベル・クラネルは、ヘスティア・ファミリアの唯一の一員として迷宮に挑んでいました。

まだ未熟な彼は単独でモンスターと戦っていましたが、ある日、上層で強敵ミノタウロスに襲われます。

命の危機に瀕したベルを救ったのは、ロキ・ファミリアの実力者であるアイズ・ヴァレンシュタインでした。その出会いはベルに強烈な印象を残し、彼女のような冒険者になることを誓うきっかけとなります。ベルの決意によって新たなスキルが発現し、彼の急成長が始まります。

その後、ベルは偶然入った酒場で、憧れのアイズに関する会話を耳にし、自身の未熟さを痛感します。

さらに強くなる決意を固めた彼に応える形で、女神ヘスティアは知人のヘファイストスに頼み込み、特別な武器「神のナイフ」を手に入れます。このナイフを手にしたベルは、怪物が地上に逃げ出す事件の中で力を発揮し、大きな試練を乗り越えます。

第二巻

ベルの急速な成長を見たギルド職員エイナは、彼に相応しい装備を準備するため、ヘファイストス・ファミリアの店を訪れます。

ベルは店で見つけた防具を購入し、新たな力を得たことでさらなる成長を遂げます。

一方、神の策略によってベルは魔導書を手にし、新たに魔法「ファイアボルト」を会得します。しかし、その力に興奮しすぎたベルは体力を消耗して倒れてしまい、アイズに助けられるものの、再び彼女の前から逃げ出してしまいます。

その後、ベルはサポーターであるリリルカと出会い、彼女と共に冒険を進めます。リリルカは当初ベルを欺き神のナイフを盗みますが、命の危機を救われたことで彼への信頼を深め、真の仲間となる決意を固めます。

第三巻

ベルはエイナの助力でアイズと直接対面し、彼女から戦闘技術を学びます。同時に、神フレイヤはベルのさらなる成長を願い、彼の過去のトラウマであるミノタウロスとの再戦を計画します。

ベルは再び強敵ミノタウロスと向き合い、恐怖を乗り越えて戦う決意を固めます。

アイズから学んだ技術や魔法、神のナイフを駆使し、ベルは己の限界を超えてミノタウロスを打ち破ります。その姿は周囲の冒険者たちに大きな衝撃を与え、ベルの成長は物語の新たな展開を予感させるものとなります。

第2部

主人公ベルの仲間たちが集結し、ヘスティア・ファミリアの物語が繰り広げられる。

第4巻

ベルは中層級のミノタウロスを単独で倒した功績により、わずか1か月半でLv.2に昇格。

その際、新たなスキル「英雄願望」を得るとともに、神々から「未完の少年」という二つ名を授けられる。

一躍注目の的となったベルは、称賛とともに冒険者や神々の関心や疑念を受けることとなる。

防具の新調のために訪れた店で鍛冶師ヴェルフと出会い、専属契約とパーティへの参加を打診される。

リューから仲間を増やすよう勧められていたベルは、ヴェルフの提案を受け入れ、リリを含む3人でパーティを結成。新たな装備を整えた一行はダンジョンの探索を進める。

第5巻

ベルたちはダンジョン探索中に遭難し、安全地帯への移動を決意。危機に陥った彼らをヘスティアや他の冒険者たちが救助に向かう。

だが、その後も様々な困難に立ち向かうことを余儀なくされ、ついには巨大な敵との戦いに挑む。

第6巻

恋多き神アポロンの策略により、ヘスティア・ファミリアは戦争遊戯に巻き込まれる。新たな仲間や助っ人の力を借りて、不利な戦況を覆し勝利を収める。

第7巻

勝利の喜びも束の間、歓楽街に囚われた狐人を救うための新たな冒険が始まる。イシュタルとの激しい戦いを経て、ベルたちは仲間を救出し、敵勢力を打倒する。

第8巻

ラキア王国との衝突を背景に、日常と冒険が交錯する。ベルたちは新たな力を確認しながらも、次なる試練に備える日々を送る。

第三部

物語は、異端児と遭遇したベルが葛藤し、覚悟を決めながら精神的な成長を遂げる様子を描く。

第9巻

冒険者として依頼を受けたベルは、リヴィラの街で傷を負った竜女と出会う。

竜女はモンスターでありながら恐怖心を抱かせることなく、ベルに言葉を交わし始める。ベルは竜女を助けるために「竈火の館」に連れて帰り、彼女を「ウィーネ」と名付ける。

ウィーネはヘスティア・ファミリアの一員として溶け込んでいくが、ギルドの主神ウラノスが発令した任務によって、ベルたちはウィーネとともに新たな冒険に赴くこととなる。

その旅の中で異端児との出会いや敵対者との戦いを経て、ベルは新たな仲間と信頼関係を築きながら進んでいく。

第10巻

異端児たちへの襲撃が激化する中、ウィーネが狙われる。彼女を救おうと奮闘するベルたちは次第に深い陰謀に巻き込まれていく。

冒険の中で、異端児を狙う者たちと激しい戦いを繰り広げるが、ベルの信念は揺るがない。

彼はモンスターであっても救いを求める者を見捨てないという強い意志を示す。数々の危機を乗り越える中、仲間たちとの絆はさらに深まるが、敵との戦いは終わりを迎えない。

第11巻

事件の影響でベルへの信頼が揺らぐ中、彼と仲間たちは異端児たちを守るために新たな計画を実行する。

冒険者たちの追撃をかわしながら、異端児たちを安全な場所へ導こうとするベルは、数々の困難に直面する。

彼らの奮闘は、異端児を巡る物語の結末へとつながり、新たな未来への希望を示唆する。ベルは敗北の苦しさを味わいながらも、さらなる成長を誓う。

この物語は、ベルの冒険と彼を取り巻く仲間たちの絆、そして異端児たちとの共存の可能性を描く壮大な物語である。

第四部「豊穣編」

物語は「豊穣編」と題され、主人公ベルが都市オラリオで繰り広げる戦いと、「豊穣の女主人」で働くリューとシルの救済劇を描く。

第12巻

ベルはアステリオスとの戦いに敗北するものの、街の人々からの評価は変わり始める。

わずか2か月でLv.4にランクアップし、新しい称号「白兎の脚(ラビット・フット)」を得たベル。ギルドの命令で強制的な遠征任務を受けたヘスティア・ファミリアは、各派閥との合同で迷宮へ挑むことになる。

探索中、ベルたちは異形の強化種モンスターと遭遇。その罠にはまり、ベルは巨滝に落とされるも人魚の異端児マリィに助けられる。

彼女の力で復活したベルは仲間の元に急行し、強化種を撃破。冒険を終えた後、リューが殺人容疑で指名手配されるという知らせを受ける。

第13巻

ベルたちはリューの無実を証明するため、討伐隊に参加。討伐の最中、陰謀に巻き込まれダンジョン内で次々と悲劇が起きる。

最終的に、ベルはリューと共にジャガーノートという強大な敵に挑む。命を懸けた戦いの末、二人は仲間の助けで地上に戻ることができた。

第14巻

過酷な戦いを経たベルとリューの物語が続く。ダンジョンの深層で生死の境を彷徨う二人は、協力して脱出を目指す。

その過程で互いの過去や想いを共有し、絆を深める。彼らは最終的にジャガーノートを打倒し、仲間たちに救われて帰還する。

第15巻

ベルは戦闘で負傷した左腕の治療を受け、しばらく静養を余儀なくされる。

ファミリアの仲間たちもそれぞれ成長を遂げ、団結を深める。平穏なひと時の中で、過去の英雄たちを偲ぶ挽歌祭が行われ、ベルも冒険者としての決意を新たにする。

第16巻

ベルとシルの関係が動き出す。シルはベルに想いを告白するが、その裏にはフレイヤの介入があり、物語は複雑に展開。

ベルは彼女の気持ちに真剣に向き合い、互いに新たな道を模索することとなる。

第17巻

フレイヤは手段を選ばずベルを自身の眷族にしようと画策。オラリオ全体を巻き込む大規模な策略が展開される。

ベルは自分を取り戻すために奮闘し、仲間たちも彼を助けようと動き出す。

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかの登場人物一覧

ベル・クラネル

ヘスティア・ファミリアに所属する少年冒険者で、物語の中心人物。白髪と赤い瞳を持つ14歳のヒューマンで、その容姿から「兎」に例えられることも。冒険者としての活動を始めた当初は初心者であったが、物語の進行に伴い急速に成長し、現在はレベル5に到達している。
田舎から都市オラリオにやってきた後、女神ヘスティアと出会い、彼女の最初の眷族として活動を開始。性格は臆病で優しい一方、英雄譚への憧れを抱き、その夢に向かってひたむきに努力を続けている。物語の進行に伴い、仲間や神々から信頼を得て、英雄としての姿が描かれる。
彼の戦い方は速度を活かした軽快なスタイルで、特別な力を持つ武器や、無詠唱の魔法「ファイアボルト」を使用。また、稀有なスキルの影響で急速に能力を向上させている。

アイズ・ヴァレンシュタイン

金髪金眼の16歳の冒険者で、ロキ・ファミリアに所属するヒューマン。外伝作品『ソード・オラトリア』の主人公であり、本編では重要なヒロインとして描かれている。ステイタスは初登場時にレベル5で、単独で階層主ウダイオスを討伐し、レベル6へ昇格した。

駆け出し冒険者であったベルがミノタウロスに襲われていた際に救出し、これがきっかけでベルの目標かつ憧れの存在となる。ベルに戦闘技術を教える師匠的な役割を果たし、物語が進むにつれて彼との関係を少しずつ深めていく。

普段は寡黙で感情を表に出すことが少ないが、内面は未熟で人間関係に不器用な面がある。天然な行動やお酒に弱いという一面も持つ。その美しい容姿と高い実力から多くの冒険者たちに尊敬されているが、彼女自身は強さを追い求めることを最優先している。

出生には謎が多く、彼女に関する秘密を知るのはロキとファミリアの一部のメンバーに限られる。

作中では、母親の名前が「アリア」であること、精霊の血を引いていること、黒竜に対する激しい憎しみ、そして伝説的英雄アルバートとの関連性が示唆されている。

戦闘では剣を主武器とし、風を纏う付与魔法「エアリエル」を駆使して攻撃力と防御力を向上させる。彼女の必殺技は、武器に風を纏わせて繰り出す突撃技「リル・ラファーガ」。また、スキル「復讐姫(アヴェンジャー)」により、モンスターへの攻撃力が強化され、特に竜種に対して圧倒的な力を発揮する。

外伝では、幼少期からモンスターに対する強い憎悪や、「怪物を必ず倒す」という誓い、英雄に依存しない強さを求める姿勢が描かれている。

7歳でロキ・ファミリアに加入し、リヴェリアの指導を受けながら成長するエピソードも収録されているが、その過去の詳細は本編で語られる予定であるとされている。

彼女の異名は「剣姫」。

ヘスティア

黒髪ツインテールが特徴的な少女のような姿をした女神。幼い見た目とは裏腹に豊満なスタイルを持ち、その容姿から「ロリ神」や「ロリ巨乳」といったあだ名で呼ばれることも。

ギリシャ神話の炉の女神ヘスティアーをモデルとしており、作中でも竈の炎を司る存在として描かれている。

下界に降臨した当初は友人のヘファイストスの庇護を受けていたが、怠惰な生活を理由に追い出される。

その後、行き場を失っていたベルと出会い、彼を最初の眷族としてファミリアを立ち上げる。

以降、複数の仕事を掛け持ちしながら組織運営に尽力しており、神と人という種族の壁を越えてベルと愛し合うことを夢見ている。ベルのために神々に頭を下げて特注の武器を頼むなど、彼を思う気持ちは非常に強い。

性格は明るく快活で、周囲の人間や仲間たちから親しまれている。一方で、ベルが憧れるアイズやベルに好意を寄せる女性たちには対抗意識を燃やすことも。

タケミカヅチやミアハといった小規模ファミリアの神々と親しい反面、ロキとは喧嘩が絶えない。また、フレイヤには強い警戒心を抱いている。

ヘスティアのビジュアルで特に注目されたのが、トレードマークである「例の紐」。

2015年のアニメ化を機に話題となり、キャラクターの人気が爆発的に広まった。この「紐」のデザインはイラスト担当者のオリジナルアイデアであり、国内外のコスプレイヤーたちの間でも一大ブームを巻き起こした。

まとめ

『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』(略称:ダンまち)は、大森藤ノによるライトノベルシリーズで、冒険と恋愛が交錯するファンタジー作品です。

舞台は「迷宮都市オラリオ」という巨大なダンジョンを有する都市で、神々が率いる「ファミリア」と呼ばれる派閥が冒険者たちを支えています。

主人公のベル・クラネルは、弱小派閥「ヘスティア・ファミリア」に所属する駆け出し冒険者です。彼はある日、憧れの女性冒険者アイズ・ヴァレンシュタインに命を救われ、彼女を目標に成長を誓います。

物語は、ベルの成長や仲間との絆、そして多くの敵や困難に立ち向かう姿を描きます。

ベルの特異な能力「成長促進」や、彼に惹かれる多くのヒロインたちの想いが物語を盛り上げるポイントです。

ダンジョン探索だけでなく、神々やモンスター、都市の陰謀など多彩な要素が絡み合い、魅力的な世界観を築いています。アニメ化やゲーム化などのメディアミックス展開も成功し、国内外で高い人気を誇るシリーズです。